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ナースコールが鳴らない場合の対処法-電話設備・PHSとの連携と障害対応

ベッド数が一定数以上ある介護施設や診療施設の多くで幅広く導入されているナースコールシステムですが、近年利用されている機種の多くでは電話・無線通信のシステムと連携して作動しています。

そのため、「ナースコールが鳴らない」といった不具合が生じた場合も、考えられる原因が多岐にわたり、ナースコールのメーカーだけでは解決できない場合もあります。

ここでは電話・通信工事業者の立場から、ナースコールシステムで不具合が生じた際の一般的な原因切り分けと対処法をご紹介いたします。

PHSは今後も使い続けられる主力システムナースコールが鳴らない場合の対処法-電話設備・PHSとの連携と障害対応

親機で不具合が生じている場合の対処

本体の故障か否かを判断

親機にも、壁掛け型のナースコール本体で直接通話するタイプと、電話機を別に設置する型があります。

壁掛け型の場合は本体の故障の場合は判断が難しいため、次のステップに進みます。

別に設置する型の場合、同タイプの電話機があれば置き換えて再接続してください。

その際、番号ボタンの他に内線ボタンがある多機能電話と、家庭用で使われているような番号ボタンと「保留ボタン」等の少数の機能ボタンしかない一般電話とは、タイプを区別して置き換えてください。

置き換えて繋がれば電話機の故障ですので端末の交換になります。それでもつながらない場合は次のステップに進みます。


接続の不具合を判断

次に多い不具合は、固定電話とケーブルでつながっているロゼットや端子盤の不具合です。

配線経路を探っていくと机の下かOA床の下設置されており、ほこりや湿度で接点が腐食し使えなくなる現象が起こりやすい場所です。

経年劣化に伴い徐々に進行する場合もありますし、引き抜きの力が加わった時に起きてしまう電話機接続プラグ(Rj11)の接触不良や、重量物の下敷きに成り机や椅子を引きずるときに電話配線を損傷して断線させてしまう配線断も度々起こしてしまう事があります。


ロゼットや端子盤等の接続端子不具合は、基本的に接触不良か弱電系の漏電です。

床付近にあるそれを確認してさしたり抜いたりして試してみてください。

ポート毎に壊れる場合と全てダメになてしまう場合があります。

ロゼットも端子盤(集合端子盤)も基本的には同じ構造です。電話機に接続されている端子の規格はRj-11(2芯/4芯)です。


以上の切り分けから、おおよその故障対応方法が定まります。業者に上記で試した内容を伝えましょう。これらの対応工事は比較的簡単で、数万円以内で納まる内容です。


電話設備本体の故障を判断

次に考えられるのは、電話設備(PBX)本体内に収容されている通信用パッケージの故障です。

通信用パッケージは、「内線用」と「外線用」があります。外線発着信が出来ないような場合は外線用パッケージ、内線通話に異常があるときには内線パッケージが原因であろうと推測することが出来ます。

内線パッケージには多機能電話用と一般電話用のパッケージがあり、それぞれ別の機能なので故障した固定電話端末によってどのパッケージが原因か更に細かく突き止めることが出来ます。


2~3台以上の内線電話機端末の障害が発生した場合、こちらでも電話機端末を色々と取り換えて確認してみてください。

電話機故障の場合には単純に取り換えた電話機が繋がりませんが、特定の場所だけつながらない場合は配線の不具合が考えられます。

どこに何を接続しても、内線通話ができない場合は本体故障の可能性があります。特に、繋がったり繋がらなかったりと生じようが不安定な時には、本体故障の可能性が高いです。


なお、電話配線がLANケーブルより細く若干平べったい配線を使っているアナログ電話の場合、電話機の内線端末は配線に依存しているので、配線を変えるたびに内線番号が変わります。これは異常ではありません。


また、内線と外線もしくは転送等ができない場合は、電話機の本体パッケージ/ユニット若しくは電話設備のCPU由来の障害の可能性があります。


親機で不具合が起きた場合は、ここまで判断してから業者に不具合の状況とあわせて連絡すると、修理までスムーズに進められます。

PHS子機で不具合が生じている場合の対処

端末の不具合かを確認

まずは、他のPHS端末で同じような不具合が生じていないかを確認します。

該当端末のみの不具合で他に問題が無ければ、端末自体の故障なので交換・修理で対処できます。

PHSは、PBXメーカーと異なるPHSメーカーの端末でも設定すれば使えるため、更新用端末はメーカーにこだわる必要は少ないです。

例えばPanasonic VB-C911Aを沖電気工業製のPBX CrosCoreシリーズで使用する、FJITSU WX-01を日立製作所製のCX9000シリーズで使用するなどが可能です。

経年劣化による端末不良で交換需要が出るときなどは、予算も取りづらいケースなどもあるため、純正の高価な端末でなく他メーカーの安価な端末代わりに調達するケースは多くあります。


繋がりにくい場所を確認

多くの端末で同時に不具合が生じている場合は、アンテナ~PHSシステムの不具合が考えられます。

特定の場所や時間などでPHS端末がつながらない場合は、PHSアンテナが故障している可能性があります。

まずは、繋がりにくい付近の天井や壁に設置してあるPHSアンテナの点灯ランプの状態を確認してください。

緑ランプが点灯していれば正常ですが、ランプが消えている場合や、赤く点灯している場合は、既に停止している事や異常が起きていることが考えられます。


場所を問わず繋がりにくい場合やアンテナが正常な場合、PBX内のPHS内線パッケージの異常の可能性が考えられます。その場合、パッケージ交換とその再設定が必要です。

部品交換の費用を除いても10万円以上する場合がありますし、メーカーの定めるPBXの保守部品保管期間が過ぎてしまうと交換部品が揃わなくなってしまい、修理自体が出来なくなることもあります。

PHSアンテナはPHS端末に位置情報としてアンテナの位置を登録し、どのアンテナで受送信しているのかつながりを認知しています。

しかし位置情報設定が異なってしまうと、内線通話が出来たりできなかったりと不安定になります。これは、電話端末の位置が不明確になる事が原因です。

停電復旧時の電撃やその他の外部的な原因で、設定が変わってしまうと起きてしまう症状です。しかし、この場合は部品交換の必要なく再設定で復旧することが出来ます。


特定機能の不具合の検証

ナースコールシステムやその周辺機器に起因する故障からも起きることがあります。

呼出しボタンからの呼び出しや、離床センサーからの信号がPHS端末に表示されなくなる様な不具合があります。

呼出しボタンや離床センサーからの信号受信がナースコールシステムの親機に届いていない場合には、呼出しボタンやセンサー又は、ユニットアダプターの不具合が考えられます。

しかし、PHS端末にだけ表示されない場合には、PHS端末の不具合とは限りません。呼出しボタンやセンサーは、LANケーブルやAE信号線・アダプターを介して制御装置につながります。

制御装置から親機に向けて接続されている箇所は正常であるのに、PBXに接続される接点に異常がある場合です。

接点は、制御装置側とPBX側の2箇所の両方のシステムにまたがります。

電話システム側のPBXの接点異常を確かめることで、どちらに問題があるか切り分けし、復旧することが出来ます。


PHSの電波とアンテナの特性

壁などの障害物がPHS電波に及ぼす影響

パーティションや機材などの設置でPHS電波が妨げられたことでつながらない場合、設備・機材側に不具合が見つからないので業者で対応できない場合があります。


PHSで使用する電波は壁による遮断の影響を受けます。

ユニットの壁、ナースステーションの壁、居室を繋ぐ廊下とユニットの壁などがPHS電波の障害になり、電波が届きにくくなります。

また、壁の構造により電波は減衰していき、伝達レベルが落ちてしまいます。壁はその製造工法ごとに電波の減衰レベルが違います。

壁の材質と工法によりそれぞれ異なりますが、一般的には、コンクリート壁が最も電波を遮蔽します。そして、スチールパーテーション、アルミパーテーション、金属メッシュ入りのガラス壁、LGS工法、ガラス無垢壁、アクリル樹脂製の壁の順で電波の障害度合いが落ちていきます。

躯体構造物であるコンクリートに囲まれた部屋は電波の往来が遮断されるため、PHSアンテナを設けなくてはならない環境です。

軽量鉄骨が支える両面12㎜程度の石こうボードを使った「LGS工法」が間仕切り壁として最も多く使われます。壁を指で少し強くはじくと、太鼓のように音が響く壁でユニットの囲い等で使われることが多い壁です。

この程度であれば電波の減衰はさほど著しくなく、電波はある程度透過します。


PHSアンテナが担う端末台数

1台のPHSアンテナが同時に送受信できる端末台数は3台までです。それ以上の密度で端末を使用する場合には、想定する端末使用エリア内に配置するアンテナの台数を増やさなければなりません。

特定の場所や時間だけ繋がりにくい場合、PHS利用者が一時的に集中することで繋がりにくくなるといったケースが考えられます。


アンテナは適切に設置台数を増やせば、増やしたアンテナの分だけ使用端末台数を増加させることが出来ます。

また、PHSアンテナに接続されている通信ケーブル(電話ケーブル)は共通規格なので、既設設備にアンテナが敷設してある場合は、PBXからPHSアンテナまでの間の配線は4芯線であっても2芯線であっても使うことができます。

したがって配線はそのまま流用し配線工事を省略することが出来ます。


PHS端末が一定地域に集中してアンテナへのアクセスが混雑し、必要な電波の割り当てが賄えなくなる時にはアンテナを追加します。

この様にアンテナを追加する場合は、集中して端末を使う場所を細かく想定して、送受信電波取りこぼしが無い様に、また、想定外の他のアンテナが混雑する事が無い様に、PHS用電波の送受信範囲をきめ細かく調査いたします。

電波調査は実際に使用するPHSアンテナを必要な場所に仮設置して、PHS端末が何処のPHSアンテナの電波を掴むのか、PBX本体の信号を確認しながら行います。


また、内装工事で新たに壁を設置した場合には、機器だけに着目せず、電波に視点を向けた電波調査が必要です。

この調査も実際に使用するアンテナと機器との電波状況を相互の位置を確認しながら、端末とPBX側で確認しあい、位置の変更箇所を決定したり、増設する台数を定めたりすることがあります。


付帯設備のセンサー類

離床センサー等のナースコールシステムの付帯設備は、ベッドやユニットごとにナースコールシステムに有線接続し、情報を親機に送っています。

PHSに信号を送る為には、制御装置からPBXにつなぐルートでPHSアンテナから電波経由で発信します。

ベッドセンサーからのバイタル情報や見守りカメラからの画像モニタリングは、PHSでの連動は制限されます。PHSより端末モニターにより多くの画像情報を表示できるスマートフォンが必要になります。


こうしたセンサー類が反応しない場合は、PHS側とセンサー側のどちらで障害が発生しているのか確認が必要になります。


電話設備とナースコールシステムの更新タイミング

ナースコールシステムと電話設備の耐用年数と設備更新

一般的にPBXの耐用年数6年~10年、ナースコールシステムは8~12年と言われています。現実にはそれ以上に更新時期を延ばして使われている介護施設が多いと思われます。

PBXと制御装置を介して電話システムとナースコールシステムは連動していますので、どちらのシステムの更新を行うにしても、両方のシステム工事が必要になります。

電話とナースコールシステムの初期の導入時期が異なる場合や、同時に導入した場合でも、実際の耐用年数が異なるので、システムの更新は一概に同時にやらなければならないわけではございません。

それでもセンサーやタブレットを利用したシステムが増える中、時代に即したシステムの更新をしなければなりません。そのためPBXの交換時には、ナースコールセンターの更新も併せて検討する必要があると思います。

また、ナースコールシステムの更新も全面更新するのではなく、PBXとの接点部分である制御装置だけを更新する方法もございます。


先にPHS端末の互換性については説明してありますが、PHS端末とアンテナの流用更新前の機器をそのまま流用することが出来る可能性が高いですが、機器それぞれに検証は必要です。

PHSシステムの流用が出来ると、PBXのPHSパッケージを除き、導入費用をそっくり節約することが出来ます。


2023年6月現在、PHS電波は総務省からのスプリアス使用制限の時限はかけられていない為、それを理由にPHS端末やアンテナを交換する必要はありません。

現行販売品は全てスプリアスに適合していますので、部分的に更新をすればよいことだと考えています。


ナースコールシステム・PHSシステムの設備更新の流れ

介護施設のナースコールシステムへのPHS(ハンディナース)システム更新の時には、ナースコールシステムの制御装置にPBXを接続し入居者の管理情報が表示されるように設定いたします。

電話配線工事は、PBXから固定電話とPHSアンテナにつなぐ配線そして、ナースコールシステム制御装置とを結ぶ配線があります。

PHS用通信配線ケーブルはアンテナへの電気供給のために4芯線を使う場合がありましたが、現行モデルでは2芯線を使用します。

既存モデルのリプレイスの場合は4芯線が残っている場合がありますが、基本的に問題なく使えます。

既設配線を利用する場合には、使用前の導通確認をした上に、表面の劣化等による破損の状況を判断するために目視点検を併せて実施いたします。


PHSアンテナを新しく設ける場合は、実際に設置するPHSアンテナの位置にでもアンテナを設置して、使用するものと同一機種のPHS端末を用いて実際の送受信テストを行い、施設内に電波が適切に届くか確認します。

アンテナを交換しない場合でも、従前システムの設置当初と比べて、パーテーションや内装工事さらには積み上げた荷物等が、電波の到達に障害敷設と成り、使用環境が変化する場合があるため確認を怠らない様にします。


電話システム工事は主に、PBXのデータ設定、配線工事、PHSアンテナ設置工事、PHS端末設定工事、固定電話端末設置工事を実施します。

事前作業としては先ず各種調査に加えて既設のPBXに残されている設定データを取り込む必要があります。

既存のPBXから事前にコンソールを使用PBXからデータを吸い上げて捕獲します。このデータを基に新規導入するPBXの設定を行います。

PBXからはナースコールシステムとの連動の為に、システム制御装置にケーブルで配線接続します。

最後に、ナースコールとの連携確認を行います。


設備全体の更新となると費用もかなり高額となってしまいますので、必要な部分だけ適宜更新を行っていく方が効率的です。

障害対応や設備更新でお悩みの場合、調査と問題解決からご協力いたしますので、ぜひご相談ください。

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