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PHSは今後も使い続けられる主力システム

2020年7月にドコモのPHSがサービス終了しました。続けて2023年3月にはソフトバンクのサービスも終了し、公衆網は完全に使えなくなり、PHS規格の通信はPHS通信設備の整った構内通信に限られるようになりました。

PHSは将来使えなくなるようなイメージを持たれがちですが、構内PHSの新機種開発はスプリアス規制をクリアしたモデルが続々と出されています。

PHSは倉庫や工場、介護施設や病院に主力で使われているシステムです。日立、OKI、NEC、富士通、NTT、岩通等のメーカーでは現行モデルとして製造しており、現状生産停止を行う事や販売を辞める動きは見られません。このサービスは引き続き存続し、新機種も開発されることでしょう。

ここではPHSの技術的特徴と、今後も活用が期待されるシーンについてご紹介します。

PHSは今後も使い続けられる主力システム

「枯れた技術」としての成熟度の信頼性

構内PHS通話システムは、1990年代初頭から使われている移動体通信通話システムで現在も多くのバリエーションの機種を現行品として販売しています。

PHSシステムの製造開発メーカー各社は、通信技術を盛り込んだアンテナとPHS端末を開発製造していますので、高い信頼性と情報漏洩対策が施されています。

既に30年以上つちかわれてきた、ある意味「枯れた技術」としての成熟度の信頼性は、PHSシステムの持つ大きな特徴です。


構内PHSシステムは、PBX(電話交換機)を介した内線電話システムです。端末同士の内線通話、主装置を介しての外線着信や、機種によっては外線発信もできます。

PHS端末は固定電話と異なり端末が移動する事を前提に設計されています。頻繁にレイアウト変更を行う事務所などでは、固定式の卓上型PHS端末も利用されています。

LANケーブルや電話線を必要としないので、電話機の場所移動に伴う配線工事を行う必要がありません。

携帯式PHS端末と同様に端末機器が内線番号を持ったままなので、アナログ配線で使われている固定電話と比べると移動は格段に簡単です。また、LAN配線で繋がっているIP電話と比べてもフレキシブルです。


IP化、wi-fiとの比較

倉庫や工場などの広い構内や作業スペースでは固定電話までの距離が遠く、また様々な手段で構内を移動するため、移動通信手段としてPHSが使用されてきています。

Wi-Fiを使いスマートフォンやタブレットを利用する方法もありますが、単に内線機能と外線着信機能を実現するためであれば、端末費用の面でPHSが効率的です。

既設のPHSアンテナがある場合は、Wi-Fi化に伴うアクセスポイントの設置・維持コストにも注意が必要です。

Wi-Fiで安定した通信を行うためには、コントローラと呼ばれる各アクセスポイントを統合管理するシステムの導入が不可欠で、100万円単位の高価な機材が必要です。

近年価格は低下傾向ではありますが、毎月ライセンス費用が必要な場合もあり、導入費だけでなく運用コストも注意が必要です。


また、Wi-Fiシステムを利用した通信方法には、多くの情報を扱う事が出来るメリットがある反面、Wi-Fi側の製造メーカーと移動体端末のスマートフォンやタブレットのメーカーは異なる場合がほとんどです。

システムとして利用する場合、障害が発生する事や情報漏洩対策を別途検討する必要がある場合が出てきます。


よくあるご相談

公衆PHSの終了を機に、以下のような誘導で構内PHSからの乗り換えを勧める記事なども多く出回り、ご相談をいただく事があります。

  • ”PHSのサービス終了後は、端末の不具合や壊れたりした際の修理メンテナンス費用がかさみます”
  • ”PHSの終了を受けてこれまで構内PHSを使っていた多くの方が、「いつか構内PHSも使えなくなるのでは?」、「販売店からサービスの終了を言い渡され買い替えを求められている」と戸惑っている”
  • ”公衆PHSサービスの終了により、PHS端末と基地局(アクセスポイント)の製造数は縮小傾向になると考えられており、価格の高騰が懸念されます”

現行販売機種の終了プロセスは、生産終了、サービス停止、販売中止の段階を経て進みます。各メーカーによって定めはありませんが、通常は新機種の販売を辞めてから通常10年程度の期間が設けられています。

しかも、PHS端末は家庭用固定電話の様にメーカーや機種が異なっていても問題なく使用できます。設備寿命を考えれば、調達に関して現状で急ぎ対応を行う必要はありません。

また、公衆PHSサービスは2023年3月に終了しましたが、20年ほど前に携帯電話の普及に伴いすでにPHS端末は著しい製造縮小を終えています。公衆PHSサービスの終了を機に価格が高騰する等の如何わしい推論を行う根拠すら極めて疑わしい内容です。


  • ”構内PHSは現時点で終了は宣言されていませんが、時代の流れからするとスマホ等の後継機へ切り替えるタイミングであることに間違いはありません。”

携帯電話の普及に伴いキャリア電波仕様の公衆PHSサービスは終了しました。構内PHSとはPHS電波を使用する点では同じですが、各施設の電話機に従属する設備のため、上記文脈の時代の流れとは関係ありません。

また、総務省から現在もPHSで使用する電波のスプリアス規制を遵守する事と言う使用電波の割り当てに関する通達が出続けています。

PHSを廃止する意思は製造しているメーカーも総務省にも全くありません。


構内PHS端末は、医療施設や倉庫、工場で盛んに使われ、PHS端末の新機種も登場しています。PHS端末は、携帯キャリアとは何の関わりの無い内線無線電話端末であくまでも構内電話設備です。

内線電話としてはスマートフォンに比べて経済性に優れており、まだまだ末永く使われていく端末です。


設備更新時の留意点

設備更新のスパンは、出来る限り長くして設備維持コストを最小限にとどめながら、その一方で将来設備導入する際に既存設備との設備重複が起きたり、サービスの停止等により立ち行かなくなると言った陳腐化が生じないように、最適システムを構築することが望まれます。

特に、医療・介護施設での更新時には、PHS端末とそれを繋ぐアンテナ、PHSの通信主装置となる電話交換機、ナースステーションとPHSを結ぶナースコールシステムの全ての刷新が必要となるケースが大半です。

PHS・電話交換機・ナースコールの設備更新には多額の費用が必要になります。PHSで使用する電波規制の規格変更、電話交換機や電話端末の耐用年数や機器の寿命、ナースコールシステムのバージョンアップ、ナースコールシステムに接続する見守りシステム等の進展を考慮しなければならず、設備更新計画に長期的視点で盛り込み予算管理しなければなりません。


まとめ

PHSのように規制が変わるタイミングでは、買い替え需要が喚起されるため商機とみて一斉に新技術導入への声が挙がります。

こうしたときほど不正確な情報に惑わされず、自社にとって必要十分な機能の実現には何が良いのか見極める事が大事です。


一方で、既にPHSを利用している場合、改定されたスプリアス規格に適応した新規格のアンテナとPHS端末に交換する必要があるケースもございます。

PHSの更新、置き換えを迷われている方は、お気軽にご相談ください。

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