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無線LAN、Wi-Fiの速度・接続性能

オンラインミーティングの普及に伴って、ビジネス用途のアクセスポイント性能は以前にもまして高性能なものが求められています。

しかし、いざ無線LANアクセスポイントを選定しようとカタログに目を移すと、Wi-Fiの規格IEE.802.11ax、最大通信速度、チャンネルボディング、OFDMなどなど様々な指標が表記されていて読み解くのに骨が折れます。

ここでは、使い勝手に直接影響する「通信速度」「同時接続数」に関する性能の見方をご紹介します。

Wi-Fiの速度・接続性能

通信速度の理論値と実測値

各無線LANルーターのメーカーが、説明用に公開している無線LANアクセスポイントのカタログには、理論値とうたったうえで最大通信速度(何々Mbps)の表記が最も目立つところに記載されています。

Cisco Meraki MR36の場合データレートとして最大通信速度は1,700Mbpsと示されています。これはwi-Fi規格IEE.802.11axに則った上で、周波数2.4G帯のアンテナ数2×2で発揮されるべきデータレート573Mbpsと周波数5G帯のアンテナ数2×2で発揮されるデータレート1,201Mbpsの合計値約1,7Gbpsを表しています。

この数値は共にIEE.802.11axの規格を使用する条件で、2アンテナ2空間ストリームでかつ、其々の周波数帯における20及び22Mhzの隣接したチャンネルを束ねて使用するチャンネルボンディングで、40Mhzと80Mhzに設定した場合の速度です。

更に、ガードインターバルを400nsで、電波強度の減衰が極めて少ない状態の計算数値です。この様な条件がすべて満たされて初めて発揮されるであろうと言う数値なので、この数値通りの稼働を期待してWi-Fi機器が使える事を計画する事は現実的ではありません。

オンラインでのグループ会議で使用する通信速度は1.5Mbps程度とされているので、500Mbpsを超える理論値と比較するとあまりにもオーバースペックではないかと考え込んでしまいます。ところが、電波強度と通信速度との相関関係では、電波強度が落ちてしまえば比例して通信速度も落ちてしまいます。

現実にはアクセスポイントとWi-Fi電波を使用するクライアント端末とは、距離があり、その間にはガラスやパーティション、扉が遮蔽により電波強度はどんどん減衰してしまい、通信速度もそれに従い低下してしまうのです。実際に使用されている事務所での通信速度は、データレートで10~20%程度しか発揮していません。

理論値と実測値との乖離はかなり大きいものと承知しておいた方が良いと思います。

理論値の相対的評価

理論値のみで客観的な通信速度を評価するのはかなり難しいという事は間違いないのですが、それでも各メーカーは理論値の表記をカタログに出しています。

各メーカーが提示し続けるのには、実際に使用する時に無線LANルーターが理論値通りの性能に達していなくても、理論値を構成する規格IEE.802.11ax、最大通信速度、チャンネルボディング、OFDM、バンドステアリング、アンテナ数、空間ストリーム数、MU-MIMO等の要素性能が高ければ、理論値からの通信速度性能の低減が大きくても小さくても、高性能機種である事は言えるからです。従って、『同一シリーズである限り』理論値であっても通信速度の表示は大きい方が高性能と言えます。

Wi-Fiアクセスポイントの基本的な通信速度のスピードは、アクセスポイント機器本体内部に備わっているCPU・メモリーで処理される演算速度に依存します。その為、Wi-Fi無線ルーターもコンピューターと同様にCPUやメモリーの速度が性能に反映されます。

家庭用の無線アクセスポイントには求める性能も価格も法人用機器とは異なるので、家庭用アクセスポイントには高価なWi-Fiチップや高性能部品を組み込まないようにしています。家庭用と法人用のアクセスポイントでは、お互いのカテゴリーが全く異なる物と言う認識が必要です。

理論値が大きさを別のカテゴリーやメーカー・シリーズで比較するのは大変難しい事です。規格・アンテナ数・空間ストリーミング数・に基づく理論値であるトータルの性能が大きければ以下の様なボトルネック要因があっても、同一メーカー、同一シリーズでの相対的な評価には大変有効なものと考える事が出来ます。

無線LANルーターの性能比較をする時にシンプルに考えなければいけないことは、電波強度の減衰要因があり通信速度が遅くなったとしても、CPUやメモリーの能力不足により期待したほどの演算速度か得られなかったとしても、使用箇所の周辺で使われている無線アクセスポイントの電波による干渉があり、通信速度が遅くなったとしても理論値は大きいに越したことはありません。シンプルに理論値を『同一シリーズ内での』相対的な基準値だと割り切って考えれば混乱は防げると思います。

電波強度と通信速度

アクセスポイントから受信送信されている電波2.4GHz・5GHzは、アクセスポイント本体から距離が離れていくほど電波の強度が下がっていきます。

また、窓ガラスや間仕切・扉等の障害物がアクセスポイントから発信される電波の範囲内にある場合、電波はそれら障害物の影響を受けて電波の強度は下がります。

障害物が何もない所でも、アクセスポイントから遠くに離れていくと電波強度の減衰が徐々に大きくなり、30~50m程度離れたところで通信状態が不良にとなります。この様な現象のことを電波強度の減衰と呼びます。

減衰値はアクセスポイント直近では0dbと考えて、「-50dbまでは優良」「-65dbまでは良好」と判断するのが一般的です。-70dbでも音声通信やメール使用は出来ますがストリーミングビデオは難しくなり、-80dbでは使用に全く耐えられなくなってしまいます。

また、電波は障害物を通過する時にも減衰します。メッシュの無いガラス1枚で2~3%程度、アルミやスチール等金属パーティションでは14~24%も減衰してしまいます。

如何に優れた無線アクセスポイントでも、電波遮蔽に依る通信電波の減衰が起こり良好な電波環境が得られなければ、パフォーマンスは発揮できません。クライアント端末の通信速度を確保するためには、通信工事を行う前の事前電波調査や工事後の電波強度測定が重要です。

自動周波数調整機能

バンドステアリングと言うアクセスポイント本体が一定の間隔で、周辺他事業者のアクセスポイントから飛んでくる電波帯域2.4G・5Gの電波強度を収集し、混雑していない周波数帯域に自動的に振り分ける機能があります。

この機能は、Wi-Fi電波を周囲の環境に併せて出来るだけ有効に通信速度を確保するのに役に立ちます。近隣のアクセスポイントがある一定の周波数やチャンネルが密集して使っているので、開いているチャンネル使用するつもりで開きチャンネルに固定設定をしてしまいます。

時間の経過とともに電波の環境が変わってしまい、他社のアクセスポイントの電波の影響を受けて、通信速度が低下する等の支障がでる事があります。この様な時に、バンドステアリングと称される自動周波数調整機能があれば手動で再度設定する必要が無いので大変便利です。

チャンネルボンディング

Wi-Fi規格で定められたチャンネルは、2.4GHzや5GHzで20MHzごとにチャンネルが刻まれています。

チャンネルボンディンクとは隣接する複数のチャンネルを束ねて通信に利用する事で、概ね束ねたチャンネル数の分だけ通信速度を向上する事が出来ます。通信速度を高めるために通常20MHzの帯域幅で利用しているところ40MHZ、80MHZ、160MHZ、と広げて高速化することが出来ます。

デメリットとしては、チャンネルを束ねた分だけ利用するチャンネルの数が少なくなり、他のクライアントの接続が集中してしまい、速度の低下やネットワークの不安定が発生する可能性も出てきます。

チャンネルボンディングを行えば、使用可能通信速度は向上しますが、使用可能チャンネル数が減少する分、同時に接続できる性能は落ちてきてしまいます。

この様に通信速度能力と接続能力は反比例の関係と成っています。 1台のWi-Fi無線LANルーター対してクライアント端末が1台であるような場合には問題ありませんが、事務所の様に複数又は多数のクライアント端末が稼働する場合には不向きです。

多数台接続に関しては基本性能が大切なことが認識できます。

アクセスポイントの処理速度

Wi-Fi通信の速度を大きく左右するファクターは、電波だけではなく、Wi-Fiアクセスポイント自体の処理能力も大きな存在です。処理する仕事量が増えれば受発信を高速で行う事も叶わなくなります。

データ量が大きくなったり、端末数が増えたり、すれば当然アクセスポイント内での演算処理が逼迫していき、必然的に通信速度が遅くなるという仕組みです。

アクセスポイントはコンピューターと同様に中央処理機能を司るプロセッサーとDRMメモリーが組み込まれ、そのパーツの能力が速度に発揮されます。アクセスポイントのカタログで見ると、CPUの表記が少なく、シングルコア、ダブルコア、クワッドコアなどの表記はありますが機番や性能まで確認するのは難しいかと思います。そこでメモリーに着目して処理速度を推し量ります。

YAMAHA-WLX212(¥39,800)のシステムメモリーは256MB、フラッシュメモリーも256MBですが、同社のフラッグシップモデルのWLX413(¥248,000)の内訳は、システムメモリーが1,000MBでフラッシュメモリーは512MBと、システムメモリーで4倍、フラッシュメモリーで2倍の容量性能を持つパーツが使われています。価格も当然それに合わせて効果になりますが、性能の差を推測する事は容易に思われます。

CiscoのトップブランドCatalyst9100シリーズのメモリーと、Aironetシリーズのメモリーを比較した場合も同様です。Aironet2800(¥170,160)を例にとると、システムメモリーが1,000MBでフラッシュメモリーは512MBですが、Catalyst9130AX(¥250,000)では、システムメモリーが2,048MBでフラッシュメモリーは1024MB完全にほぼ倍のスペックを持っています。

Catalystは機器本体の価格はさほど変わりませんが、ライセンス料はAironet シリーズの倍以上のランニングコストがかかります。アクセスポイントに備わった処理速度はあらゆる性能の中で最も基本となる部分で、概ね全ての無線アクセスポイントの各機能・性能に反映されているはずです。

同時接続性能

事務所・事業所で無線LANルーターを使用する端末の数は、その事業所・事務所の従業員数に近い数字に成る事があります。

同一階のフロアー着席デスクの台数分だけ、同時にアクセスが発生する可能性があります。多くの接続台数を賄うために、通信速度性能とばかりでなく同時接続性能大変重要となってきます。

同時接続台数が低いアクセスポイントを選んだ場合、全体の接続を賄うために配置するアクセスポイントの数も増えてしまいます。一方多くのクライアント端末との接続が可能な物であれば、アクセスポイント同士の適切な間隔を保って配置する事が出来るので、お互いの電波干渉による性能低下に悩むことなく環境確保する事が出来ます。

YAMAHAのWLXシリーズにおいては。WLX313(¥69,800)は2.4Gで50台、5Gで50台の併せて100台の同時接続性能を掲げています。この部分の性能については、理論値ではありませんので、実際に接続できる台数で、メーカーの提示してある数字はそのまま信じても大丈夫です。このWLX313の搭載しているシステムメモリーは256MB、フラッシュメモリーも256MBですが、フラッグシップモデルのWLX413(¥248,000)の内訳は、システムメモリーが1,000MBでフラッシュメモリーは512MBと、システムメモリーで4倍、フラッシュメモリーで2倍です。WLX413は500台の同時接続台数が可能で、そのほかに128台のアクセスポイントの統合管理をすることが出来ます。

アクセスポイントの同時接続及び通信速度の両性能を取り上げてみてみましたが、やはりアクセスポイント本体の計算処理能力が大きく影響している事は明確です。

まとめ

Wi-Fiの実際の通信速度は、カタログに掲載されている理論値だけでは分からず、利用環境と製品の組合せによって大きく左右されます。

単純に価格の高いもの、スペックの良いものを揃えるだけでは、充分な性能を発揮できないケースもあります。

弊社では利用環境に即した機材の導入・設定をご提案いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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